【再掲】■うたとメロディ♪アニメーション特集■
アニメシアター上映作品紹介
~政岡憲三~
さて、6月27日までアニメシアターで上映している【アニメシアター傑作選】、”うたとメロディ♪アニメーション特集”。
歌や音楽に合わせて動くアニメーションを楽しみましょう♪
今回ご紹介するのは、今週上映の【アニメシアター傑作選】「日本のアニメーションの父」と評される政岡 憲三【まさおか けんぞう、1898年(明治31年)10月5日 – 1988年(昭和63年)11月23日】さんの作品です。
政岡 憲三さんは、第二次世界大戦の前からのアニメーション作家です。
それまでは主に「切り紙」で作られていた日本のアニメーションでしたが、初めて「セルロイドフィルム」を全画面に導入してアニメーションを作った方なのですよ。
2014年5月27日(火)~30日(金)上映予定の
『茶釜音頭』(’34)
『桜』(春の幻想)(’46)
の、2本のアニメーションを紹介します。
『茶釜音頭』1934(昭和9)年公開/11分/モノクロ/トーキー
制作:政岡憲三(政岡映画美術研究所)
演出:桑田良太郎
作画スタッフ:熊川正雄
ぶんぶく茶釜って知っていますか?それは、お茶を沸かすための鉄釜に化けた、一匹の狸の事なんです。
このアニメーションにも、たくさんの狸が出てきますよ。
ここは十奇山の奥にある萬華寺。大きな本堂には大きな仏様も安置してある、それはそれは立派なお寺です。
大きなお腹の和尚さんと、可愛い小坊主さんは、月を見ながら蓄音機で盆踊りのレコードをかけて、歌えや踊れの月見を楽しんでいました。(東京音頭が聞こえてきます)
山の狸たちも、その音楽を聞きながら楽しく踊っておりました。ところが、踊り疲れた和尚さん達は、そのまま眠りこんでしまい、楽しい音楽が途切れてしまいます。
狸一族の長男ポン吉は、人間に化けて蓄音器を思いのままにしようと、人間に変身してお寺に忍び込む計画を立てました。
雲の上をスキーで渡りきったポン吉は、お酒で酔っ払った和尚さんの枕もとから、蓄音機を盗み出します。
もっともっとすごい獲物は無いかと思ったポン吉は、お寺の奥へ奥へと進んで行き、ついには罠にかかってしまいます。
なんということでしょう。
恐ろしい顔つきの老婆が、捕まえたポン吉を狸汁にして食べてしまおうと、包丁を研ぎ始めたではありませんか。
ポン吉危うし!さあ、ポン吉はこれから、どうなるのかな?
続きはぜひ、アニメシアターまで見にきてね!
『桜』1946(昭和21年)完成(未公開)/8分/モノクロ
監督:政岡憲三(日本漫画映画社)
撮影:西倉喜代次
作画スタッフ:清水秀雄 福井栄一 長沼寿美子
『桜』は、クラシックの名曲(ウェーバーの「舞踏への勧誘」)に乗せて、美しい京都の風景が映り変わる、芸術的なアニメーションです。現代ではPVと表示されたりする、音楽のプロモーションビデオや、ミュージックビデオと呼ばれる、イメージアニメーションですね。
サブタイトルに「春の幻想」ともあります。大勢の目に触れることなく、未公開のまま保管されていたので、仮タイトルも残っているのでしょうか。
戦後すぐに作られたこの作品には、平和の大切さや愛おしさが、たいへん抒情的に描かれています。
残念ながら当時は、高尚過ぎて一般大衆向きではないとされ、お蔵入りとなってしまいましたが、クラシックの音楽に乗せて動く美しいアニメーションですね。
この作品は長く暗い戦争が終わった直後に作られたものですが、革新的な表現や、イメージだけで、物語を持たないアニメーション作品は、当時の人々には理解してもらうことができず、長らく上映されなかったそうです。
音楽はウェーバーの「舞踏への勧誘」 踊り出したくなる軽快な曲です。
京都の嵐山には、春になると美しい桜が沢山咲きます。京都育ちの政岡憲三さんならではの、美しい日本を全力で描いた映像にも、その桜がふんだんに出てきますね。
モノクロのみの映像ですが、フラワーフェアリーの姿をした桜の精が、手に手を取り合って桜吹雪の中で舞い踊ります。愛らしい姿と背中の羽根が、咲き誇る桜の花弁の間で、ふわふわと飛び回るのです。
日本の桜の美しさと儚さ、やっと訪れた春を祝う気持ちが、いっぱいに詰まっています。静かに流れる小川を進むのは、船頭さんが操る小舟です。舟に乗っているのは、京都でしか出会えない舞妓さんですね。
底の厚いぽっくり下駄を履いて、ぱたぱたと桜吹雪の中を走ってゆきます。日本髪に奇麗な帯をしめた、着物姿も愛らしい、何人もの舞妓さん達が、笑いさざめきながら、舞い散る桜の下でくるくると回り続けています。
恐ろしい戦争の時代が終わり、温かで優しい本当の春が来たのです。
ちょっと早いお花見気分を、嵐山の桜の中で味わってみませんか?
■『茶釜音頭』(’34) 『桜』(’46)15分
制作:政岡憲三
上映日時
5月27日(火)~5月30日(金)
・11:00~
・13:30~
※1日2回上映です。
そして次回の【アニメシアター傑作選】紹介作品は・・・ デイブ・フライシャーさんのアニメーション『丘の風車小屋』(34’)、『若き日の思い出』(’35)の2本です。 どんなアニメーションかな?お楽しみに!
スタッフ:めぐる
歌や音楽に合わせて動くアニメーションを楽しみましょう♪
今回ご紹介するのは、今週上映の【アニメシアター傑作選】「日本のアニメーションの父」と評される政岡 憲三【まさおか けんぞう、1898年(明治31年)10月5日 – 1988年(昭和63年)11月23日】さんの作品です。
政岡 憲三さんは、第二次世界大戦の前からのアニメーション作家です。
それまでは主に「切り紙」で作られていた日本のアニメーションでしたが、初めて「セルロイドフィルム」を全画面に導入してアニメーションを作った方なのですよ。
2014年5月27日(火)~30日(金)上映予定の
『茶釜音頭』(’34)
『桜』(春の幻想)(’46)
の、2本のアニメーションを紹介します。
『茶釜音頭』1934(昭和9)年公開/11分/モノクロ/トーキー
制作:政岡憲三(政岡映画美術研究所)
演出:桑田良太郎
作画スタッフ:熊川正雄
ぶんぶく茶釜って知っていますか?それは、お茶を沸かすための鉄釜に化けた、一匹の狸の事なんです。
このアニメーションにも、たくさんの狸が出てきますよ。
ここは十奇山の奥にある萬華寺。大きな本堂には大きな仏様も安置してある、それはそれは立派なお寺です。
大きなお腹の和尚さんと、可愛い小坊主さんは、月を見ながら蓄音機で盆踊りのレコードをかけて、歌えや踊れの月見を楽しんでいました。(東京音頭が聞こえてきます)
山の狸たちも、その音楽を聞きながら楽しく踊っておりました。ところが、踊り疲れた和尚さん達は、そのまま眠りこんでしまい、楽しい音楽が途切れてしまいます。
狸一族の長男ポン吉は、人間に化けて蓄音器を思いのままにしようと、人間に変身してお寺に忍び込む計画を立てました。
雲の上をスキーで渡りきったポン吉は、お酒で酔っ払った和尚さんの枕もとから、蓄音機を盗み出します。
もっともっとすごい獲物は無いかと思ったポン吉は、お寺の奥へ奥へと進んで行き、ついには罠にかかってしまいます。
なんということでしょう。
恐ろしい顔つきの老婆が、捕まえたポン吉を狸汁にして食べてしまおうと、包丁を研ぎ始めたではありませんか。
ポン吉危うし!さあ、ポン吉はこれから、どうなるのかな?
続きはぜひ、アニメシアターまで見にきてね!
『桜』1946(昭和21年)完成(未公開)/8分/モノクロ
監督:政岡憲三(日本漫画映画社)
撮影:西倉喜代次
作画スタッフ:清水秀雄 福井栄一 長沼寿美子
『桜』は、クラシックの名曲(ウェーバーの「舞踏への勧誘」)に乗せて、美しい京都の風景が映り変わる、芸術的なアニメーションです。現代ではPVと表示されたりする、音楽のプロモーションビデオや、ミュージックビデオと呼ばれる、イメージアニメーションですね。
サブタイトルに「春の幻想」ともあります。大勢の目に触れることなく、未公開のまま保管されていたので、仮タイトルも残っているのでしょうか。
戦後すぐに作られたこの作品には、平和の大切さや愛おしさが、たいへん抒情的に描かれています。
残念ながら当時は、高尚過ぎて一般大衆向きではないとされ、お蔵入りとなってしまいましたが、クラシックの音楽に乗せて動く美しいアニメーションですね。
この作品は長く暗い戦争が終わった直後に作られたものですが、革新的な表現や、イメージだけで、物語を持たないアニメーション作品は、当時の人々には理解してもらうことができず、長らく上映されなかったそうです。
音楽はウェーバーの「舞踏への勧誘」 踊り出したくなる軽快な曲です。
京都の嵐山には、春になると美しい桜が沢山咲きます。京都育ちの政岡憲三さんならではの、美しい日本を全力で描いた映像にも、その桜がふんだんに出てきますね。
モノクロのみの映像ですが、フラワーフェアリーの姿をした桜の精が、手に手を取り合って桜吹雪の中で舞い踊ります。愛らしい姿と背中の羽根が、咲き誇る桜の花弁の間で、ふわふわと飛び回るのです。
日本の桜の美しさと儚さ、やっと訪れた春を祝う気持ちが、いっぱいに詰まっています。静かに流れる小川を進むのは、船頭さんが操る小舟です。舟に乗っているのは、京都でしか出会えない舞妓さんですね。
底の厚いぽっくり下駄を履いて、ぱたぱたと桜吹雪の中を走ってゆきます。日本髪に奇麗な帯をしめた、着物姿も愛らしい、何人もの舞妓さん達が、笑いさざめきながら、舞い散る桜の下でくるくると回り続けています。
恐ろしい戦争の時代が終わり、温かで優しい本当の春が来たのです。
ちょっと早いお花見気分を、嵐山の桜の中で味わってみませんか?
■『茶釜音頭』(’34) 『桜』(’46)15分
制作:政岡憲三
上映日時
5月27日(火)~5月30日(金)
・11:00~
・13:30~
※1日2回上映です。
そして次回の【アニメシアター傑作選】紹介作品は・・・ デイブ・フライシャーさんのアニメーション『丘の風車小屋』(34’)、『若き日の思い出』(’35)の2本です。 どんなアニメーションかな?お楽しみに!
スタッフ:めぐる