スタッフ日誌

【再掲】■うたとメロディ♪アニメーション特集■
    アニメシアター上映作品紹介
    久里洋二

杉並アニメーションミュージアムでは、平日の11時と13時半に普段では、なかなか見る機会のない、貴重な昔のアニメーションを傑作選として上映しています。
今回、紹介するのは久里洋二さんのアニメーションです。
TV「11PM」「ひょっこりひょうたん島」「みんなのうた」などの作品を手掛け、新潮社の「とんぼの本」ロゴマークをデザインした人です。
杉並アニメーションミュージアムが、久里さんのナンセンス・アニメーションに染まります。
あまりの不思議な世界観に、音楽も異界の曲に聞こえてくるような気分です。
はたしてどんな世界観なのか?少しの間お付き合いください。

まず、ひとつめ。

『FLOWER』(1967年)
男が手にしたのは一粒の種。
芽が出て、花が咲き・・・となるのですが、まずこの花がただの花ではありません。人よりも大きくなってしまう花なのです。
人どころか、小山のてっぺんを覆うぐらい大きい花になってしまうのです。
その後何が出てくるのか。
久里洋二さんのショートアニメ。
何がどうなるのかは見てのお楽しみです。

ふたつめ。

『MAN and WOMAN and DOG』(1964年)
『FLOWER』が花の話なら、こちらは「男と女と犬」の話なのです。
が、やはり単なる「男と女と犬」ではすみません。
突然演歌風の曲が流れてきて、男が女に会いに来たかと思えば、女を慕う犬が何度も男を女から離そうと試みます。
ところが、女は男にくびったけ。男と女と犬の滑稽でいて面白い追いかけっこ。
次に何が起こるのか全く予想がつかない、変幻自在のアニメーションと歌との両方が楽しめますよ。
この世界観に驚きの連続です。

みっつめ。

『SAMURAI 侍』(1965年)
前のふたつの作品の世界観を裏切らないみっつめの作品。
侍というからには刀とちょんまげだよね!と思っていたら・・・刀はシャープペンシルの芯みたいに細い棒一本で描かれているし、ちょんまげでもない。
着物すら着ていないなんて、びっくりです。
2階建ての建物より大きな女を取り合って、小さな2人の侍が戦います。
女が大きすぎるのか、はたまた侍が小さすぎるのか、見る側も脳内での戦いを強いられます。
女の涙が地面にこぼれおちると草木が生える。ひょっとしてこの女は神様か?いや、和風に言うなら観音様?

おそらくどころか、確実にこの文章では正しく映像をイメージしていただける自信が持てない。と思いながらも、これが見た通りの説明なのです。
見なければ分からない、ナンセンス・アニメーションな久里洋二ワールドであります。
これぞ映像で見てみないと分からない作品といってもいいのかもしれません。
一度見たあなたは、もうこの世界観のとりこになってしまうかも?!

【上映日時】
『FLOWER』『MAN and WOMAN and DOG』『SAMURAI 侍』久里洋二
6月10日(火)~6月13日(金)
11:00~/13:30~

来週の傑作選「うたとメロディ♪アニメーション特集」は『子守歌』ウィルフレッド・ジャクソン、『人魚の踊り』ルドルフ・アイジング、ヴァーノン・スターリングです。お楽しみに!

スタッフ セイカ