スタッフ日誌

【再掲】■うたとメロディ♪アニメーション特集■アニメシアター上映作品紹介~デイブ・フライシャー~

アニメシアター傑作選「うたとメロディ♪アニメーション特集」
5月8日(木)、9日(金)上映
「丘の風車小屋」(’34)、「若き日の想い出」(’35)デイブ・フライシャー作
の2本の見どころ紹介です。

スタッフ日誌をご覧のみなさま、こんにちは。
待ち遠しい春も通りこして、もう初夏ですね。
仕事に学校が始まりますので、気もちをひきしめてまいりましょう。
さて、アニメシアター平日上映傑作選、今週は2本上映です。

アニメシアター傑作選でも、作品の上映回数はトップクラスの、
デイブ・フライシャーさん。
お兄さんのマックスとともに、アニメ制作会社フライシャー・スタジオを設立。
ここから『ベティ・ブープ』『ポパイ』『スーパーマン』
という超有名キャラクターを生み出していきました。
今回紹介する作品は、いわゆるキャラクターアニメとは異なり、全体的にバランスのとれた傑作です。
一番の見どころは、今回は、背景!!!と言わせてください。
初めて観る方は、この背景どうやって動いているの!?とびっくりするはずです。
まず観ていただいてから、「実はこの背景はね~」と言いたいところですが、この場でネタバレさせます(惜)。
なんと、背景は、ミニチュアセットをコツコツ作っているのです!
そして作ったセットをターンテーブルに乗せて、その前にアニメのセル画を立てて、ターンテーブルを少し回転させて、セル画を差し替えては、撮影し、の繰り返しでアニメーションを作っているのです。
驚くべきは、全く違和感なく、実写背景と、アニメの登場人物との合成がなされているということ。
今から80年前に、こんな手間ひまかかる高等技術でアニメを作っていた人たちがいたんですよ。脱帽です。
今、話題のロトスコープ(実写映像の人間を一コマずつトレースし、アニメーションを作ること)も彼らの発明なんですよ~。

「丘の風車小屋」(1934)8分
こちらはオランダの昔話をモチーフにした作品です。
しょっぱなから、かわいい世界観です。風車の背景が素晴らしい!
町中から嫌われている男は、働きもせず、お恵みだけで生活しています。彼の住み家は風車小屋です。
小屋の中で、集めた金貨を広げてご満悦の男。その様子をのぞき見する子供たち&あひる(がちょうかも)くん。
案の定、男に見つかり、捕えられ「のぞき見したバツだ!」と、おしおきされる寸前に!!
運良く男から逃れたあひるくんが、町へ走り、助けを求めます。あひるくんの必死さがかわゆい…。
町の人たちを引き連れ、風車小屋のなかへ突入~!!!
さぁ、子供たちは無事なのか?はたまた男の運命は?
この後「あれまあ、見てくれよ」というセリフにくすりとします。このセリフ、誰が言ったでしょーうか?
気になる方は、アニメシアターでご確認ください!

「若き日の想い出」(1935)7分
こちらも背景がとても美しいフルカラーアニメーションです。
暖炉の前でくつろぐ、おじいさんとおばあさん。ラジオからは懐かしいメロディが。
「憶えているかい」とアルバムを開くおじいさん。そこには子供の頃から仲良しのふたりが写っていました。
拡大鏡で写真をのぞいていると、いつの間にか、場面が子供の頃の世界に。
郷愁を誘うメロディにのせて、思い出は、子供だった頃のふたりから恋人へ、そして幸せな結婚生活のあの頃へと優しくいざなっていきます…。
見ているこちらは、もううっとりですよ。当時の生活風景も取り入れてあり、なかなか興味深いです。やるな、デイブ!
とにかく、ひたすらロマンチックなアニメーションです。個人的には、キャラアニメ。

アメリカンアニメーションは、ストーリーより動き重視!!と思っているあなた、今回の2作品を観ると、考え方が変わると思いますよ。
当時のアニメ作家たちの、試行錯誤っぷりが堪能できるクラシックアニメーション。本当に奥が深いです。この機会にぜひ大画面でご覧ください。

【上映日時】
■「丘の風車小屋」(’34)、「若き日の想い出」(’35)デイブ・フライシャー
 5月8日(木)、5月9日(金)※1日2回上映
 ・午前11:00~
 ・午後13:30~ 上映時間:15分

さて、来週の上映作品は、久里洋二さんの「FLOWER」、「MAN and WOMAN and DOG」、「SAMURAI」の豪華3本立てです!
次回のアニメシアター紹介日誌もチェックしてくださいね。

スタッフ ペリー子